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「NPO法人東京e大学」設立ストーリー |
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平成14年3月3日(土)、内閣府と特定非営利活動(以下NPO)法人葛飾区若手産業人会の共催で行われた「タウンミーティング・イン・葛飾」(写真1)において、改めて人口が300万人近くいる東京下町城東地域に大学等の高等教育機関が無く、それが今後の地域と産業の活性化に必要不可欠な機能であることが改めて浮き彫りにされた。中小企業が生き延びるために「これからは知力の時代」と言われても、知的環境が乏しければどうしようも無いのである。
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写真1 発端となった「タウンミーティング・イン・葛飾」の模様 |
そこでこの問題に対応するためにNPO葛飾区若手産業人会の中にプロジェクトチームを結成し、既存の施設やインターネットを使い、更に複数の大学の協力(講座提供)を得て、「城東ブロードバンドビジネス塾」(写真2)という事業を開始した(※本事業は、全国中小企業団体中央会の平成14年度コーディネート活動支援事業として行われた)。
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写真2 前身である「城東ブロードバンドビジネス塾」の模様 |
この時に命名した講座名称が「東京e大学」であり、平成15年4月には、特定非営利活動法人東京e大学の設立に至り、平成15年9月に認証および登記が完了した。 |
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2. |
講座の内容 |
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東京e大学の講座は、『インターネット講座』と『スクーリング』からなる。
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インターネット講座 |
スクーリング |
動画講座を配信する機能と、受講生とコミュニケーションを取るための講師機能がある(メール配信や掲示板による質疑応答など) |
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受講生に実際に会って、コミュニケーションを取ることができる |
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現在開講中の講座は以下の通り。
- E‐エンディングノート
- 新しい時代に生きる力
- 東京いのちのポータルサイト「耐震補強のススメ」
- ときめき人生のキーワードは「人間魅」
- どこでも竹とんぼ教室を
マネジメント成功学部【コミュニティービジネス学科】 |
- NPO協働リーグ主催「事業型NPOのマネジメント研究会」
- ネットコミュニケーションでものづくりを再生
- 現代経営最前線
- 製造業ネットワークで世界にチャレンジ!
- 中小企業探検隊
- ブロードバンドムービーファクトリー
- BB時代のビジネスプレゼンテーション
- 中小企業BBマネジメントスクール
- ブロードバンドでものづくりワーク
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3. |
課題 |
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(1)番組制作の課題
eラーニングには幾つかの課題がある。特に「中小企業とNPOのためのeラーニング」を目指す東京e大学としては、「番組(コンテンツ)制作コストの費用対効果」の向上は大きな課題である。
マスマーケットを対象にした、マスコミ・大企業とは違い中小企業やNPOは、ターゲットを限定した特定顧客やニッチ(すきま産業)な市場に対しては、必要十分な仕様があり、それに見合った価格構造があるのだが、いまだ確立されてはいない。ブロードバンド時代となり、電波料や放送料にあたる配信コストが低減された今、中小企業やNPOにとって、コンテンツ制作に関しての適切な環境提供は大きな課題であり、それが改善・解決されて行く事が今後の展開のキーポイントだと確信している。
(2)財政的問題
eラーニングの収支構造を考えた場合、収入としては、受講生側から徴収する方法と開講希望者から得る方法、あるいは受講生に対しての広告料収入など付加的に得る方法などが考えられる。しかし、絶対的な資源不足で制作されたコンテンツのネット配信にて課金をして収入を得るということは、本質的に無理な話であり期待はできない。
これまでの成功例としては、スクーリング講座の参加を前提としたeラーニングにおいて、有料受講生を獲得できた事例が、「NPO協働リーグ:事業型NPOマネジメント研究会」と「どこでも竹とんぼ講座を」に見られる。
(3)講座管理と受講生管理
リアルな教育サービスの運営において必然的かつ、かなりの資源を必要とする、講座管理と受講生の管理はインターネットとASPを運用した管理システムにより格段に効率的になる。しかし、その管理システムの構築には相当な資源とノウハウが必要であり、中小企業やNPOにとっては手が届きにくい分野の一つである。
しかし、今回、東京e大学に管理システムを提供されている「インターネット市民塾」システムの活用により、現在700名を超える受講生と14講座の管理を他の職務との兼任で行えているのは特筆に値する事である。
(4)講師と受講生のコミュニケーション
ネット講座を有効に機能させて行くのに欠かせないのが講師と受講生あるいは、受講生同士のコミュニケーションである。その実現の為にはスクーリングは極めて重要なファクターであり、今後ともスクーリングとネット講座の連携は重要な課題であり、インターネットにおけるコミュニケーションの方法は改善されるべき課題であると言える。 |
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4. |
今後の展開 |
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東京e大学というeラーニングプロジェクトを自立的に続けて行くためには、eラーニングをその活動やPRに活用する中小企業やNPOに対して支援活動を行ってその対価を得るというモデルを実践して行く予定である。
その応用例として今取り組んでいるのが「注染実習塾」という伝統技術の伝承と新たな市場の拡大を目指すプロジェクトにおいて、ゆかた・手拭の手染めに関してのeラーニングを提供することにより、新規受講生の獲得と実際の実習センターとの連携を実現しようとしている。
この例においては、単なるホームページの開設を超える「eラーニングによる予習復習」と言う受講環境の提供による事業の推進を、低予算で実現する可能性を大いに含んでおり、今後の展開が期待されるものである。 |