. 海外訪問調査

英国調査報告
渋谷 英章

はじめに

 国際電気通信連合(ITU)による第1回世界ICTランキング(2003年11月)では、日本はデジタル・アクセスの総合指数0.75で15位であったが、英国は0.77で世界第12位であった。ただし、携帯電話加入率では100人あたり83.9人で、63.7人である日本に比べて高いものの、インターネット・ユーザーは日本が100人あたり54.5人であるのに対し、英国では42.2人、またブロードバンド加入者についても日本では100人あたり6.2人であるが、英国は3.1人と半分であった。実際のところ、英国は携帯電話としては一般的に電話+メール機能のみの機種が使用されており、日本で一般的になりつつある画像を撮ることのできる機種はあまり見かけない。さらに、日常生活では通信回線もISDNが一般的であり、ブロードバンドの普及はこれからのようである。
 また、「すべての人々にとって、コンピュータおよび関連機器へのアクセスは非常に限られている。また、もしネットワークにアクセスできたとしても、たいていはダイアルアップ接続に限定される。VLE(Virtual Learning Environment)やMLE(Managed Learning Environments)といった、コンピュータによって接続された学習環境は成人コミュニティ学習(ACL)にとっては無縁に近く、その目的もほとんど理解されていない」()というように、成人の学習に関してのインフラストラクチャーは現状では十分ではないとの指摘がある。このような指摘をふまえ、英国の生涯学習分野におけるICTの利用状況について、関係機関を視察した。本調査の日程については、以下のとおりである。

〈英国訪問日程〉
3月1日 National Institute of Adult Continuing Education(NIACE―全国成人継続教育研究所)
3月2日 Central London Connexions
(コネクションズ、ロンドン・セントラル・オフィス)/Department for Education and Skills (DfES―教育技能省)
3月3日 Department for Culture, Media and Sports(DCMS―文化・メディア・スポーツ省)/Swiss Cottage Central Library, London Borough of Camden(スイス・コテージ中央図書館、カムデン)

(1)The National Learning Network, Adult and Community Learning : Information and Leaning Technology Strategy,Learning and Skills Council, 2003, p.10
3月4日 Open University(オープン・ユニバーシティ)
3月5日 Learning + Skills Council(LSC−学習+スキルズ・カウンシル)/British Educational Communications and Technology Agency(BECTA−英国

教育コミュニケーション技術エージェンシー)次章から、各訪問先について、報告する。