1)多機能デジタルカメラ
今回借用したデジタルカメラは、有効画素約200万画素のカメラで、使用時の本体質量が約74gと大変スリムでコンパクトになっていることが特徴である(写真1)。このカメラを使って、区内13のセンターで行われているITサロンの状況を記録した。ITサロンは会場も日程もさまざまであるため、カメラが会場間を人づてに行き来して各の様子を記録するという方法で行った。記録された画像は、学習事業課でパソコンに取り込んだ後(写真2)、ホームページに活動紹介としてアップロードした(http://gakushu.adachi.Tokyo.jp/
itsalon/annai.html)。13のセンターの間を行き来して記録する上では、この機器の軽量、スリム、コンパクトという特徴が役立ったといえる。職員やボランティアを介して学習事業課から各会場にカメラを移動して記録する際には、移動が楽であった。
写真2 画像をパソコンに取り込む また、撮影する際には、従来のカメラとはスタイルも違い、小型であるため、写される側が構えることなく記録できたということもメリットであった。撮影中には、「それは何ですか?」という質問をたびたび受けており、多機能デジタルカメラという認識がされない場合も多かった。また、「携帯電話ですね」という反応も多かった。最近、カメラの画素数が上がってきており、200万画素という数字は高くはない。しかし、今回のようにWebに活用するという前提の場合には十分な画素数であった。記録媒体としてメモリカードを利用している(SDカード)ため、データのパソコンへの取り込みが手軽に速やかにできた。ただし、後述するが、このメモリカードの容量が一方で制約条件にもなった。
もう一つ、動画が撮影できるということもメリットである。ホームページにおける動画のファイルフォーマットのルールができていないため、今回は動画の掲載は行わなかったが、有効に活用できる機能であるといえる。記録媒体としてメモリカードを利用しているということはメリットであると共に、カードの容量によって活用が左右されるという側面も持っている。今回借用した機器に関しては、16MBのメモリカードが添付していたが、この16MBという容量では、静止画を最高画質で撮影すると20枚に満たない枚数しか撮影できない。Web用ということで低画質で撮影したため多く撮影できたが、やはりメモリ容量によって運用を考える必要がある。静止画だけでなく動画も撮影できるのだが、16
MBという容量では1分程度しか撮影できない。従って、動画の撮影は諦めざるを得なかった。今回は途中で別途128MBのメモリカードを購入することができたため、動画の記録も取れたが、容量の確保ということが重要である。小型軽量で取り回しが容易であるというメリットは、撮影する側が注意していないとブレた画像になってしまうというデメリットと裏腹である。今回も手軽に撮影できるため、ついついしっかりと構えずに撮影してしまうケースが多発し、ブレて使えない画像も多かった。利用する側の注意が必要な点である。
2)インターネットテレビ会議システム(写真3)
写真2 画像をパソコンに取り込む 今回は、足立区ITサロンボランティアが他地域のボランティアと交流を行う手段としてこのシステムを活用した。具体的には、岡山市立御南西公民館で活動する市民情報ボランティアである「じょぼら会」と交流を行った。システムを利用するにあたってのパソコンの設定は、本システム貸し出しの担当者によって行われた。このシステムは今回だけの利用であり、設定していただいたことはありがたかったが、我々から見るとシステムの構成等がブラックボックスになってしまうということが残念でもあった。今後の取り組みのためにも、ボランティアによる設定作業という部分があれば、ノウハウとして蓄積でき、よりよかった。
また、設定作業の際にITサロンで所有しているUSBのキャプチャーカメラが、このインターネットテレビ会議システムでは動作しないことが判明したため、別途用意することになった。どれでも使えるという方が使う側からすると助かるが、すべてを検証して対応するということは難しいのだろう。
また、マイクの設定にも気を使った。パソコンのマイク入力は機種によってバラつきがあり、マイクとの組み合わせによっても問題が出る場合も多いため、数パターンの組み合わせを用意した。最終的には、事前に実際にインターネットテレビ会議システムを使ったテストの結果で組み合わせを決定した。インターネットテレビ会議システムのメリットは、何といっても安価に複数地点での会議が実現するということであろう。常時接続の環境さえ整っていれば、システムの利用料だけで遠隔地との会議が実現できる。これまで金額的に手が出なかったものが、少し近づいてきたという感じである。とはいえ、システムの利用料をどう予算化し、どこをつなぐのかという部分はクリアしなければならないことである。
インターネットテレビ会議システムを利用して感じた課題点を整理してみると以下のとおりである。
よりいっそうのブロードバンド化が必要
実際に使用してみると、画像の大きさが足りないこと、動きが滑らかでないこと、提示資料の動きや表示までの時間がもたつくことなど、回線速度の限界による使いづらさが気になった。画面については、現在のテレビ受像機の画面が誰しもインプットされており、今回の参加者からは「こんなに小さいの?」「動きがわるい」といった声が聞かれた。現在の技術動向から見れば妥当だと判断できるものであっても、利用する側が期待するものはもっと大画面で自然な動きである。今後のより一層のブロードバンド化への基盤整備が進むことが待たれるとともに、動画の圧縮技術の進展も不可欠であろう。
音声の質の確保
画像と変わらず重要なのが音声であるということを実感した。むしろ、画面の大きさが限られるからこそ音声が重要だということがいえるであろう。画面についてはテレビがスタンダードとなっているのと同様に、音声もテレビや固定電話がスタンダードになっているといえるだろう。雑音や音の質には利用者は敏感である。この音声については、前項の設定の部分でもふれたが、回線やシステムだけの問題ではなく、各パソコンとマイクの関係も重要である。たとえシステム的に万全の状況を用意しても、利用者のパソコンでマイクとパソコンのマイク入力がミスマッチであれば聞くに堪えない音声となってしまう。このあたりのノウハウの蓄積も重要であろう。
利用までのハードルがまだ高い
今回、岡山との交流だけでなく、調査研究委員会の会議にもインターネットテレビ会議システムを利用して参加したわけだが、参加するに当たっての事前の機器調整など実際の会議以上の時間を準備で使っている。慣れてくれば大丈夫なのかもしれないが、まだ手間がかかるといった状況である。これをどう改善するかも普及のためには必要な事項であろう。
直接会う会議とは違うノウハウの蓄積が必要
インターネットテレビ会議を進めるには、実際に顔を合わせて行う会議とは違うノウハウが必要だと感じた。どのようにノウハウを蓄積し、どのように提供するのかを考えていかないと広まらないのではないだろうか。
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