.国内における最新の学習資源提供機器利用調査

実践先訪問調査(2)
〔教育機器・システム〕 《e-ラーニングなどインターネット利用遠隔教育》

オンラインによる主要教科の学習問題により、学力の向上を図る。
家庭における学習と学校教育への応用が可能

(1) システムの機能
   不登校児や、海外の日本人学校、帰国子女、病院の児童生徒らも、インターネットを利用し、家庭学習を行い、学力アップを図る支援システムである。このシステムを基礎に、学校教育用システムも開発されている。

  システムの特徴
     システムのサーバはネットワーク会社のデータセンターにて万全のセキュリティのもとに運用される。インターネット環境があれば、家庭からシステムで提供されている問題が利用できる。
 小・中・高の主要教科の問題が数多く蓄積されており、幼稚園生用のソフトも配信予定である。また、このシステムを基幹ソフトとして保護者用に生涯学習講座も開設予定である。

  システムと利用方法の概要
     メニュー画面のメニューは、次のとおり。
 ・問題:システムから配信された問題を表示する。未解答の問題があると点滅する。
 ・学習:各教科の自宅学習問題がまとめられている。
 ・過去の成績一覧:各教科の自宅学習の成績がまとめられている。
 ・先生から:クリックすると連絡事項を表示する。未読の時は点滅する。
 ・質問用紙:利用者から先生への質問コーナー。回答がある時は点滅する。
 ・掲示板:利用者と先生の意見交換の場。
その他:Logoutはシステムを終了し、Helpはヘルプを表示する。

  問題エリアの構成
     宿題一覧画面が表示され、「タイトル」には問題のタイトルが書かれて、それをクリックすると問題が表示される。「解答状況」の欄は解答中か未解答か解答済みかを表示し、「各問正答率」は採点結果を、問題ごとの○×印で表示する。この時、50点以上の場合は、「正解表示」をクリックして正解一覧を見ることができる。×印をクリックすると、その問題が再提示され、満点になるまでやり直しができる。
 問題画面では、選択肢から文字記号入力と数字と文字による解答の直接入力ができる。演習型の問題構成になっている。電話回線でアクセスの場合、一旦回線を切ってから問題を解き、その後「提出」ボタンをクリックすると送信・採点がなされる。また、「一時中断」ボタンは、送信だけして採点はしない。「ヒント」をクリックすると解説を見ることができる。
 学校教育システムに対応する内容として、
(ア) 「生徒から先生へ」のエリア
 生徒は自宅で各種問題を利用することができる。予習・復習に、また授業内容を補う教材として活用できる。生徒は、自宅のパソコンで宿題を解き提出する。宿題の提出・未提出状況や、自動採点によって得点および各問の正答率が表示される。学習記録は、生徒・保護者メニューから見ることができる。

(イ) 「保護者から先生へ」のエリア
 学校通信等閲覧として、学校からのお知らせや行事案内等を閲覧することができる。また、生徒の遅刻・欠席などの連絡を簡単な操作で学校へ送信することができる。

(ウ) 「先生から保護者・生徒へ」のエリア
 学校からの各種連絡事項を家庭へ配信することができる。配信先は、全生徒宛てから個人単位まで細かく選択可能である。
 また、このシステムでは配信情報の未読/既読の確認が学校側からできるため、配信後のケアが可能である。さらに、簡単なマウス操作で宿題を作成し、生徒に出題することができ、 宿題の提出・未提出状況、自動採点により得点と各問の正答率まで表示される。
 学習問題は、あらかじめシステムに格納されている問題以外に、教師が自分で作成したものを登録、出題することができる。

(2) 利用可能な活動と利用上の留意点
   このシステムは、選択肢から解答を選び入力する、または、短い語や数字を直接入力するという形式の学習プログラムを提供するものである。学校のテストや入学試験は、多くの部分、このような形式になっているから、生徒にとって十分有用であろう。しかし、論述型の解答形式や小作文の課題には対応することができないため、他の授業において指導する必要がある。
 インターネットを用いて、家庭でも学習を進めることができるのは本システムの利点である。この場合、ひとりで学習を進める子どもの動機づけ水準を維持するために、本システムの双方向機能の部分(「先生から」「質問用紙」「掲示板」)を効果的に利用する必要がある。
 また、このシステムは不登校児や、海外の日本人学校、帰国子女、院内学級等の児童生徒に対して有効に活用できる可能性がある。しかし、その際にもサーバー運用上、個人情報の管理には細心の注意が必要なことはいうまでもない。

(3) 報告者
   メディア教育開発センター教授 佐賀 啓男 

(4) 資料提供
   株式会社大磯教育研究会
 機器型名 ネットワーク型学習システム「ネット先生システム」