1.調査の目的
本調査の目的は、以下の4つに大別される。すなわち、各機関における視聴覚教育・メディア教育に関する研修の実態を把握すること、「視聴覚教育メディア研修カリキュラムの標準」(以下、標準と略す)の普及および活用の状況を把握すること、研修内容のニーズを把握すること、そして、「標準」改正に向けて、その内容および構成に対する現場のニーズを把握することである。
2.調査の方法
平成14年12月中旬から平成15年1月中旬にかけて、郵送法による質問紙調査を行った。調査対象は、都道府県および指定都市の教育センター64か所(全数)、都道府県および指定都市の生涯学習センター33か所(全数)、都道府県および指定都市の視聴覚センター・ライブラリー56か所(高校ライブラリーを除く全数)、専任職員が1名以上かつ人口規模が10万人以上の市区町村視聴覚センター・ライブラリー120か所、計273か所である。調査対象は、視聴覚教育・メディア教育に関わる研修を行っていること、そして、研修に対する予算を確保していることという2つの基準から選定した。
質問紙調査の項目は、すでに、行った訪問調査の結果を受けて作成した。調査票は、訪問調査のための質問群の中から、新たな「標準」の内容と構成の決定に直接関わるものを抽出するとともに、必要な項目を付け加えて作成した。調査票作成にあたっては、訪問調査の結果から、現在「標準」を活用している機関は多くないと思われるため、回答に際して「標準」に関する知識を必要としないような項目を設定すること、設問ごとの回答数を一定に保つため、副質問や漏斗質問を設けないことの2点に留意した。そのため、一部項目については、自由記述に依ったり、複数回答を認めている。
調査票は4部構成とし、調査の目的に照らして、視聴覚教育(メディア)研修の現状について、「標準」の改正に当たって、視聴覚教育メディア研修の実施状況に関して、メディア・教材の保有状況に関して、回答を求めた(資料B・112頁参照)。
3.調査の結果
273か所の機関に対して調査を行ったところ、188部の回答を得ることができた。回収率は68.86%、回答が不十分で分析に適さないものを除いた有効回答は160部で、有効回答率は85.11%であった(下表参照)
機関の種別 |
調査対象数 |
回答数 |
回収率 |
有効回答数 |
有効回答率 |
都道府県・指定都市教育センター |
64 |
47 |
73.44% |
40 |
85.11% |
都道府県・指定都市生涯学習センター |
33 |
25 |
75.76% |
19 |
76.00% |
都道府県・指定都市視聴覚ライブラリー |
56 |
32 |
57.14% |
23 |
71.88% |
市区町村視聴覚ライブラリー |
120 |
84 |
70.00% |
78 |
92.86% |
計 |
273 |
188 |
68.86% |
160 |
85.11% |
以降、(1)調査対象全体、(2)都道府県・指定都市教育センター、(3)都道府県・指定都市生涯学習センター、(4)都道府県・指定都市視聴覚センター・ライブラリー、(5)市区町村視聴覚センター・ライブラリー、そして、(6)機関別傾向について、それぞれ、研修の現状と今後に関して、視聴覚教育メディア研修の実施状況に関して、メディア、教材の保有状況に関して、という3つの観点で集計・分析を行った結果を記す。なお、各項目の回答機関数を母数Nとし、集計図表中または項目横に括弧書きにて示す。
ただし、「視聴覚教育メディア研修の実施状況に関するアンケート」(117〜119頁参照)を用いた調査については、県教育センター、県生涯学習センター、県視聴覚センター・ライブラリーからの回答が少なく(3種の機関からの合計回答数:20件)、機関別での集計・分析に耐えない。そのため、上述の視聴覚教育メディア研修の実施状況に関して(回答機関数:88件)、および、メディア、教材の保有状況に関して(同160件)の集計・分析は、回答機関を全体として実施し、機関別の横断的分析は行わないこととした。
視聴覚教育メディア研修の実施状況について、多くの回答を得ることができなかった原因として、県教育センターについては、「標準」に基づく研修を行っている機関が少ないため、県生涯学習センターについては、現行の「標準」が作成された1992年当時にはまだ設置されていなかったため、県視聴覚センター・ライブラリーについては、21.74%の機関が研修を実施していないと報告しているため、という理由がそれぞれ考えられる。
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