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1.状況調査の概要 |
松 田 實 |
地域の視聴覚センター・ライブラリーでは、地域映像教材を制作し保有しているが、どの程度保有しているか、どんな内容の地域映像教材が、どのように利用されているか、その保存についてどんな配慮をしているか、著作権処理はどうしているか、地域映像教材をアーカイブ化して共用する可能性はないか、全国の視聴覚センター・ライブラリーのうち、21本以上の自作教材を保有している視聴覚センター・ライブラリー(平成13年11月現在)203施設を対象にアンケート調査を実施した。そのうち4施設を訪問して、実態を視察するとともに、関係職員からの聞き取り調査を行った。
<2つの性格> | ● | 地域映像作品 1作品としてテーマを持ちストーリー性のある映像 |
● | 地域映像資料 カットやシークエンスのねらいをもつ資料性の高い映像 | |
<3つの内容> | ● | 自地域のみで利用価値のある映像 |
● | 自地域はもちろん、他地域でも十分利用価値のある映像 | |
● | 記録することに価値のある映像 |
山形県北村山視聴覚教育センター | 当初は、職員が直接制作していたが、講習を通じて育った地域のビデオボランティアが中心となって「地域づくり」「ふるさとづくり」を目的に、古くから伝わる行事等をビデオ化している。また、貴重な作品は、DVD化して保存している。しかし、制作については、ビデオボランティアの高齢化等による問題も出てきている。 |
京都市視聴覚センター | 教職員を中心とした自主サークルを中心に学校向け教材を制作しているが、地域の方々によるグループも組織され、一般対象の地域映像も制作され始めている。 学校向け地域映像教材が多いので、他地域でも十分に活用できるが、規約により相互貸し出しはできない状態である。 |
兵庫県篠山市視聴覚ライブラリー | 職員が直接、制作にあたり、地域をテーマにしたドキュメンタリーやニュース、学校向け教材を制作し、ビデオテープを定期的に公的施設に配布するとともに、地域の行事や出来事で、即時性が求められるものは、インターネットを通じて全施設および家庭に配信することに力を注いでいる。 |
鹿児島県立図書館視聴覚課 (県立視聴覚センター) |
6か年計画で、市町村に取材希望をとり、課員が自然や文化に関する映像を収集して「かごしま映像百科」を完成させている。 さらに、映像や静止画をデジタルコンテンツ化した「映像百科素材データベース」のCD−ROM も制作している。 |
また、制作の方法についても違いがあった。
(1)視聴覚センター・ライブラリーの職員が制作する
(2)地域のビデオボランティア等の協力を得て制作する。
(3)自主サークル等に制作を委託する。
等で、保存という消極的な考え方に止まらず、よい状態で提供するためのメディア変換を考えていたり、逆に、現状ではそう大きな問題はないとするというように、その地域の状況により、保存の方法は大きく異なっていたが、制作についても、職員が制作作業を行う、サークルやボランティアの協力で行う、委託するなどさまざまであった。
また、前述したが、地域映像といっても、ストーリー性のある作品と、あくまでも地域の映像素材として制作しているものがあり、今回の4施設でも2つに分かれていた。
アーカイブ化については、システムは別として、すでに行っているところもあるが、やはり、地域の費用で作った教材は地域に還元することを最優先にする考え方も根強い。
いずれの訪問先も、地域映像教材の制作提供には積極的に取り組んでおり、アーカイブ化による地域映像教材共用の方策を早急に検討する時期にきていると思われる。
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