.生涯学習におけるeラーニングの活用事例


実践事例2.大学・民間教育事業


  株式会社デジタル・ナレッジ(http://www.digital-knowledge.co.jp/)は、1995年の設立以来、『日本で初めてのeラーニング専門ソリューション企業』として、デジタルハリウッド、中央出版株式会社、明光義塾、資格の学校TACなど、教育ベンダーへeラーニングソリューションを提供してきた。このような経験をもとに「教育」を中心に考えたソリューション提供を行っている。また、鹿島建設株式会社、ソニー株式会社、株式会社コムスン、キヤノン株式会社などの企業内研修部門へもeラーニングシステムを提供している。昨今では、高等教育機関において、日本で初めてのeラーニングだけで卒業できる八洲学園大学への実績から、高等教育機関向けのeラーニング運用の専門会社も関連会社として保有している。現在のシステム導入事例から、提供するeラーニングシステムについて、以下に述べていく。

1. 大学での社会人対象の生涯学習講座
   八洲学園大学(http://study.jp/univ/yashima/index.asp)は、「eラーニングだけで卒業できる」を謳ったインターネットを通して「学士取得」、「各種資格取得」が可能な正規の通信制大学である。eラーニングシステムを活用している実践として、「インターネットライブ授業システムLive Now!」がある。

写真1 受講画面
 特徴として、通常のオンデマンドで教材を作成するやり方とは異なり、講師の授業をそのまま学生へインターネットを通じて配信を行う。授業中に質問を提示したい場合はチャットに書き込みを行ったり、理解度の情報がデータベースに蓄積されるような仕組みになっている。講師はパソコン上の板書に書き込み、映像をカメラで取り込む形になる(写真1)。

 実際に通学して席につく学生はプロジェクターを見ながら学習を行う。また通学が困難な遠隔地の学生は、インターネットを介してPC画面上で受講を行う。その際はインターネットからeラーニングシステムにログインを行い、自分が受講する科目から本日受講する授業を選択し、授業の画面を立ち上げ受講する形となっている。これによりキャンパスに登校することなく、授業を受け、単位を修得することができる。授業が終了するとそのデータはサーバに蓄積されるので、授業に参加できなかった学生はオンデマンドで受講を行う事が可能となっている。

 また今後の課題としては、インターネット上では質問やレポートの提出は気軽に行えるが、どうしても学生間の交流や、学校に通っている実感というものが薄れてしまいがちだ。その問題を解決する施策として現在、eラーニングシステムに対して、コミュニケーションツールの充実を図っている。また運用体制として、それら学生のモチベーション向上へつながる各方法を検討し、それらを克服するため、マイニングという考え方を用いて、学生の活動履歴を分析し、講師や管理する側が適切な施策を打てるようなデータの収集方法を検討している(図1)。

図1 データ分析から施策決定支援への流れ
   
2. 民間の通信講座
   

写真2 プレゼンエリア画面
デジタルハリウッド(http://www.dhw.co.jp/)の場合、近くにスクールがない、通学に時間や費用をかけられないといった方のために、自宅から学べる環境を提供するeラーニングシステムを導入している。通信講座は、カリキュラムの通学コースで30,000名以上の卒業生を業界へ輩出してきた実績あるカリキュラムをベースに開発されたオリジナルの内容となっている。グラフィックデザイン、Webデザイン、Adobe認定エキスパート資格取得対策、マイクロソフトOfficeなどを学べるコースが受講可能となる。学習支援を目的にeラーニングシステムを活用しているため、全国の学生がコミュニケーションをとることができる機能が導入されている。

 たとえば「プレゼンエリア」という機能は、学生が作成した作品をシステム上にアップして、講師や同じ通信科の受講生が評価を行えるシステムになっている(写真2)。これによりお互いに意見を交わしながら作品のクオリティを高めていくことが可能になっている。通信講座というと「孤独」、または「自分と先生とだけのやり取り」で学習するというイメージが強いが、この通信講座では学習支援を目的としてeラーニングシステムを利用することで、通学コースに近い環境を提供し、モチベーションの向上へつなげている。

 また、次の課題としては、通学コースで提供しているカリキュラムを自宅にいながらにして、まったく同じ内容で、同じスタイルで受講することができるサービスを提供していくことである。提供にむけて解決すべき課題は多くあるが、10年間通学コースで培った教育ノウハウを余すことなく提供するためのeラーニングシステムの開発が、最も重要だと感じている。
   
3. インターネット家庭教師
 

写真3 添削結果画面
  中央出版株式会社(http://www.chuoh.co.jp/)では、従来通りの紙のプリントへ鉛筆で記入する学習形態と、インターネットの学習を上手く融合させた個別指導システムの開発を行っている。学習方法としては、まず生徒が書き込みしたプリントをスキャナーを経由してシステムに取り込みを行い、そのプリントを遠隔地の講師がシステム上で音声を入れて添削し、そしてその結果を配信するという仕組みになっている(写真3)。

 通信教育のイメージに近いが、講師の声や指さし、書き込みが追加されることによって実際に講師がその場にいて、直接教わっているような、話かけられているような実感が持て、プリントのみの通信学習より生徒の満足度や継続率が高いと現場の声をいただいている。



(株式会社デジタル・ナレッジ e-ラーニングソリューション部ジェネラルマネージャー 野原 成幸)
実践先からの報告 「八洲学園大学」
   
   遠隔地、自宅から、インターネットを通じて、「学校に一度も通うことなく卒業すること」、「学士取得」、「各種資格取得」が可能な正規の通信制大学として、2004年に開校(写真1)。

写真1 八洲学園大学キャンパス

写真2 eラーニングシステム
   
eラーニングシステムを活用している実践の規模
 
  • スクーリング(ライブ配信)(写真2)
  • 課題やレポート提出・添削・評価
  • コミュニケーションツール
  • 学生支援ツール、教員授業内容評価
   
受講者数
  初年度定員1,200名
   
導入経緯について
   自宅からインターネットによるメディアスクーリングを利用する事で、大学で行われている授業を受ける事ができ、キャンパスに登校することなく単位を取得することができるシステムであったため。

 また、学生管理、授業管理、コンテンツ等の学校運営を管理できるシステムの運用が可能であり、大学運営のシステムとして、ASPサービスを利用することで、時代に取り残されない、良い仕組みが提供されていることから導入した。
   
システム運用の経過
   2004年4月の開校から春期、秋期、2005年4月と順調に入学者が増えつづけている。
   
運用体制について
   運用支援として、eラーニングシステムのメニューより、学生対応支援、教員支援の為の人材派遣を受け入れている。その人材が、学生、教員との窓口として活躍している。入学検討者から学生まで、ユーザを一括に管理する事による学生対応を円滑に進めている。

(株式会社デジタル・ナレッジ・ユニバーシティ・ラーニング 阿部 裕一)