.国内における最新の学習資源提供機器利用調査

モニター試用実践事例調査(3)
〔教育機器・システム〕 《e-ラーニングなどインターネット利用遠隔教育》
遠隔地との情報共用可能な50V型高精細プラズマハンドライティングシステム

わかりやすいプレゼンテーションをめざして
演習課題発表におけるプレゼンテーション機器の活用

(1) 機器機能
   コンピュータで作成したプレゼンテーションシートを50型プラズマディスプレイに直接表示できる。そして、その上を指先や専用電子ペンでなぞるだけで追記データを速やかに表示できるので、ポイントを目立たせながら説得力のある効果的なプレゼンテーションが可能。また、ADSL以上の通信速度のある電話回線で互いに接続すれば、さまざまなコンピュータデータを共有することができ、遠隔地同士の学習活動をよりスムースに進めることができる。

(2) 教育機関の概要
   新潟県立生涯学習推進センター 職員数 15名。新潟県生涯学習情報提供システム(ラ・ラ・ネット)を運用、ラ・ラ・ネットサーバの下、40台の研修会用コンピュータが接続。

(3) 活用目的
  プレゼンテーション能力を養う。

(4) 活用概要・対象者
   エル・ネット(教育情報衛星通信ネットワーク)による社会教育主事講習(B)。受講者17名を対象。受講者の内訳は行政関係職員9名、一般からの受講者8名。社会教育演習の科目における指導者は、生涯学習推進センター職員5名。

 
 

(5)実践内容
社会教育主事講習(B)には「社会教育演習」という履修科目がある。ここでは、家庭教育、まちづくり、学社融合連携、生涯スポーツの4つのテーマの下でそれぞれグループに分かれ社会教育事業を立案し(写真1)、最終日の発表会で作成した事業計画を報告する。
 事業計画はワープロで作成、印刷してそれぞれ各グループに配られたが、よりわかりやすく説明できるよう、プラズマハンドライティングシステムで作成した計画を表示し、ポイントをマーキングしたり、言葉を付け加えしたりしながら発表した(写真2・3)。

(6)学習効果
 発表会の前日に機器操作の説明を行い、半日間自由に操作を体験できるよう設置てしおいた。しかし、課題を仕上げることに時間がかかってしまい、事前に十分に操作を体験できる時間がなかったことと、1人あたりの発表時間が5分という短い時間であったため、発表しながら操作することに手が回らなかったことから、効果的なプレゼンテーションには至らなかったようである。
 操作不足を補う方法として、発表者とハンドライティングシステムの操作を分担しながら発表する班もみられた。自分の分担されたことに集中でき、スムースな発表が見られた。
 各班がワープロソフトで作ったものを印刷し、それを見ながら発表を聞いた。また、プレゼンテーション用の原稿は作らず、ワープロで作った原稿をそのまま投影したため、文字の表示が小さかったり、頻繁にスクロールしなければならかったりした。その2点から、ハンドライティングシステムでアンダーラインや文字を書き加えても効果が薄れてしまったように思われる。
 受講者の中には機材に興味を持ち、自分の発表の前に練習をしてから臨んだ方もおり、アンダーラインやコメントを加えながらの発表も見られた。個々の興味関心によるところも大きい。

写真1・計画立案中の受講者
写真2・発表の様子
写真3・二人組で発表する受講者

(7) 利用可能な活動と利用上の留意点
  画面が明るく、明るい部屋でも十分使用可能である。
  画面サイズが50型(1098.2mm×620.5mm)ということから、大きい部屋で多人数で見ることには向かない。
  プレゼンテーション資料の上に書き込みができるという特性を理解した上で、使う側は資料作成する必要がある。
・1ページで収まればよいが、画面をスクロールしていかなければならないもの(ワープロで作成した資料等)は見づらい。
・文章だけでなく、図や写真などを入れた資料がわかりやすい。
・1ページあたりの文字の分量、大きさに配慮する。
   当センターは、新潟市中心地から離れた市街地にあり、通信回線が整備されていない現状にある。そのため、本システムは、本来、遠隔教育に対応するものであるが、今回は遠隔教育システムとして、利用できなかった。ADSL以上の通信速度を持った回線があれば、他の地域と結んで、このプラズマに表示された内容を共有し、会議等で有効に活用できると思う。

(8) 報告者
   新潟県立生涯学習推進センター社会教育主事  伊丹 和哉

(9) 資料提供
   パイオニア株式会社 http://wwwbsc.pioneer.co.jp/
 機器型名 EPD−C50A