愛媛県総合教育センター
所在地 愛媛県松山市上野町甲650
所 長 阿 部 正 幸

1.視聴覚教育に関する研修講座の概要(平成14年度)
手作りTPの作成実習

 当センターでは、視聴覚教育に関する教員研修を、主に学習方法研究室が担当している。小・中・県立学校の初任者研修講座の中で、教育機器の基礎的な知識や技術を習得するため、OHPの活用方法や手作りTP教材の作成実習を行っている。2次元的なプレゼンテーションの基礎を学ぶとともに、教育機器の活用を啓発している。
 また、特別研修として視聴覚教育指導者研修講座を設け、新しい教育メディアを取り入れた視聴覚教育を推進する指導者の育成に努めている。
 さらに、短期(6か月)及び長期(1年)研修生に対しては、基礎研修の一般教養研修講座の中で、教育機器の活用や、マルチメディア教材及びビデオ教材の制作などの実習を行っている。
学習方法研究室が担当する視聴覚教育に関する研修講座
講  座  の  名  称
対  象
人 数
期 間
小学校初任者研修講座(教育機器の活用)
小学校教員
68人
3時間
中学校初任者研修講座(教育機器の活用)
中学校教員
53人
3時間
県立学校初任者研修講座(教育機器の活用)
県立学校教員
174人
3時間
小学校視聴覚教育指導者研修講座
小学校教員
18人
3日間
中学校視聴覚教育指導者研修講座
中学校教員
17人
3日間
県立学校視聴覚教育指導者研修講座
県立学校教員
20人
3日間
短期研修生基礎研修一般教養講座(教育機器)
小中学校教員
28人
3日間
長期研修生基礎研修一般教養講座(教育機器)
小中県立学校教員
34人
3日間



2.研修講座の概要(平成14年度)

 当センターの研修講座は、初級講座(教育メディア研修講座)→中級講座(ビデオ編集講座)→教材制作講座(長期研修講座)→自作教材発表会の流れで、教材活用の理論から、教材の作成、授業での活用までを支援している。

視聴覚教育に関する研修講座
研 修 ・ 講 座 名 対  象 期 間
教育メディア研修講座 幼・保・小・中学校職員、社会教育担当者 8日
ビデオ編集講座 幼・保・小・中学校職員、社会教育担当者 2日×2回
教材制作講座 幼・保・小・中学校職員、社会教育担当者 断続10日程度
自作教材発表会 幼・保・小・中学校職員、社会教育担当者 1日
視聴覚担当者連絡会 視聴覚担当者(幼・保・小・中学校・社会教育) 3時間
IT講習会 小学4年生以上の市民 12時間×4回
小・中学校アナウンス講習会 児童・生徒 半日
校内テレビ放送講習会 児童・生徒 半日
(ただし、短期研修生は、前期・後期各14名)

2.研修の企画・運営
 視聴覚教育に関する研修講座の実施内容は当センターで企画し、県教育委員会の関係各課と連携を図りながら決定している。受講者の募集は、県教育委員会・教育事務所から各学校に実施要項を配付して行っている。広報活動としては、当センターで作成する『現職教育のしおり』を各学校に配付するとともに、インターネットのホームページでその概要を紹介している。講座の指導については、学習方法研究室の研究主事2名と専門員1名が担当し、必要に応じて外部講師を招へいして実施している。

3.実施内容
(1) 初任者研修講座(教育機器の活用)
   小・中・県立学校の各初任者研修講座において、次のような内容で視聴覚教育に関する研修講座を実施した。(講師1名、実習補助2名、いずれも所員が担当する。)
 
ア.
総論(1時間)
   
視聴覚教育の意義と方法
 分かる授業、魅力ある授業を実践するための一方策としての教育機器の活用事例を紹介しながら、その教育的意義や指導方法について講義する。
   
視聴覚教育と情報モラル
 知的所有権に配慮した自作教材の作成や、インターネットなどの情報関連機器を活用した授業を行う場合の情報モラル等について考察する
 
イ.
教育メディア(2時間)
   
OHPの機能と操作
 模範TP教材を提示しながら、基本操作や授業で使用する場合の留意点や活用上の工夫などについて説明する。
   
TPの作成実習
 各自の授業で使用できるTP教材を作成する。作業マット、各種カッター、金定規、カラーシート、フェルトペンなど必要なものは当センターで準備する。
   
自作TP教材の評価
 作成したTP教材を実際に提示して、児童生徒の立場に立って評価し、より教育効果の高いTP教材の作成・活用方法を学ぶとともに、パソコンと液晶プロジェクターを用いたプレゼンテーションやコンテンツづくりの在り方を考察する。
(2) 視聴覚教育指導者研修講座
   学校教育における視聴覚教育の充実・発展をねらいとして、視聴覚教育を推進する指導者の育成を行っている。小・中学校は希望者の中から、特殊教育諸学校を含む県立学校は、3〜5年のローテーションで指定された学校の希望者を対象に各20人を定員として、次の内容で3日間実施している。ここでは、希望により「ノンリニア編集によるビデオ教材」と「パソコンによるマルチメディア教材」の制作を選択できる。
 
ア.
総論
   
視聴覚教育の現状と課題(共通1時間)
 元NHKニュースカメラマンを外部講師として招へいし、現代の映像文化について講義を受け、視聴覚教育の現状と課題を考察する。
   
教材作成の理論と技術(選択3時間)
 希望選択コースにより、「ビデオ教材の制作と学習指導」または「マルチメディア教材と学習指導」について、その理論と実践方法を研修する。
   
自作教材と著作権(共通1時間)
 自作教材を作成する場合の知的所有権(うち著作権と肖像権)について研修するとともに、インターネットなど情報通信社会へ参画するための情報モラルの指導等の在り方を考える。
   
教育メディアの動向(選択2時間)
 映像技術の進展と新しい映像メディアの教育利用について、衛星通信情報システムやスタジオ実習、ノンリニア編集などの体験を通して研修する。
 
イ.
教育メディア
   
教材作成実習(A又はBのうちから1コースを選択8時間)
A.「ノンリニア編集によるビデオ教材の制作」(外部講師1名、実習補助2名)
 専用ノンリニア編集機(DVCPRO Editing System Quick Cutter)2台とノンリニア編集ソフト(Adobe Premiere 6.5)とDVデッキを組合せた編集用パソコン3台を用いて、2〜3人を一班として番組を制作する。

Aコース:ノンリニア編集

Bコース:マルチメディア教材制作
      B.「パソコンによるマルチメディア教材の制作」(外部講師1名、実習補助1名)
 プレゼンテーションソフトを用いて、地域紹介のマルチメディア教材を制作する。リンク機能を活用したコースウェアの作成技法や、調べ学習の成果のまとめをデジタル化する場合の指導方法等について研修する。
   
自作教材の評価(共通1時間)
 A、Bコース合同で、研修で制作した自作教材を発表し、研修した講義内容等を踏まえて、相互評価を行う。
(3) 短期・長期研修生に対する一般教養研修講座(教育機器)
  初任者研修と視聴覚教育指導者研修講座の研修内容及び研究発表における教育機器の活用などについて、延べ3日間の機器実習を行っている。


4.その他の視聴覚教育に関する研修講座
情報教育研究室が担当する情報教育研修講座
講座の名称
県立
期 間
パソコン入門
40人
40人
40人
2日間
マルチメディア
20人
40人
20人
2日間
インターネット入門
40人
40人
40人
2日間
インターネット応用
20人
40人
20人
2日間

情報教育研究室では、初任者研修講座や二期教職経験者研修講座(5年経験者)で情報教育に関する講座を行っている。また特別研修では、コンピュータや情報通信ネットワー
クを活用して、時代に対応した情報教育に関する知識・技能を修得するため、小・中・県立学校の教員を対象に右の講座を実施している。その他、短期・長期研修生を対象とした機器実習を実施している。

5.関係機関・団体との連携
  (1) 愛媛県生涯学習センター
     県及び市町村の公民館・図書館・博物館等の社会教育担当者を対象とした視聴覚教育指導者研修講座(3日間、定員30名)に講師として所員2名を派遣している。指導内容は、録画教材制作の理論と技術、パソコンによる画像処理などである。
  (2) 愛媛県視聴覚教育協会
     県下3会場で実施される教育機器実技研修講座(2日間、定員各20名)に講師として所員1名を派遣している。指導内容は録画教材の制作実習と評価などである。


6.今後の展望

 今後も、教育メディアのデジタル化が一層進行すると予想されるので、情報教育と連携を図りながら、デジタルコンテンツの作成技法や、授業での効果的な活用方法等について研修が深められるよう視聴覚教育に関する研修講座の内容を見直していきたい。

[大浦 哲雄]