3 質問紙調査

(1)調査対象全体についての分析

研修の現状と今後に関して
A-1. 研修の重要性・必要性について
(研修の重要性・必要性について、どのようにお考えですか:複数回答可)

<教職員の知識・技術の向上、人材育成のために研修が重要であるという意見が多く、重要性を否定する意見は少ないことから、研修の重要性は非常に高いと考えられる。>

A-2. 予算確保の状況について
(ここ3年間の、貴機関における総事業費に対する研修のための予算の割合をお答えください)
・事業費に対する研修予算の割合の平均(N=160)
   平成12年度:8.41% (予算あり:86.88%)
   平成13年度:8.30% (予算あり:86.25%)
   平成14年度:8.65% (予算あり:85.00%)
<ここ3年間、研修予算の割合は8.5%前後で安定していることから毎年度、一定度の予算が確保されているといえる。また、85%以上の機関が研修予算を確保している。>

  A-3. 参考資料の活用状況について
(研修の企画・内容決定の際に、現在、参考にしている資料はありますか)

<参考資料を活用しているという回答と活用していないという回答とに分かれており、研修内容策定の根拠はあまり明確ではない。>
  A-4. 「標準」の活用状況について
(現在、「カリキュラムの標準」を参考資料として活用していますか)


<約半数が「標準」を認知していない。原因として、「標準」の現在のメディア状況への対応の問題や、機関での研修業務の引継ぎの問題が考えられる。>

A-5. 研修内容決定の基準について
(研修の内容はどのような基準から決定していますか:複数回答可)

<習得すべき技能から研修内容を決定しているという回答が最も多く、続いて受講者の要望から決定しているという回答が多いが、全体的にばらつきのある回答結果である。>

A-6. 研修の企画に際して参考となる資料について
(予算の確保、内容の決定の際にはどのような資料が参考になると思われますか:複数回答可)

<研修内容の根拠や、研修のねらいと成果を示してほしいという意見が多い。どのような知識・技能をなぜ獲得すべきかを「標準」で示すことが求められているといえる。>

B-1. 定員確保のための方策について
(研修の定員確保のための方策をお答えください:複数回答可)

<各機関では、ニュースレターや研修計画表の配布、Webページの公開など、広報に力を入れることで研修の定員の確保を目指しているものと考えられる。>

B-2. 定員確保の状況について
(研修の定員確保の状況をお答えください:複数回答可)

<定員確保が上手くいっている機関と、定員確保に困難を感じている機関とに結果が分かれた。定員確保の難しい講座として、16ミリ映写機やビデオ関連の研修があげられた。>

C. 研修のニーズについて(自由記述からの集計、Nは各々の回答数)
ニーズが高い(N=142)
ニーズが低い(N=133)
将来的に必要(N=130)
動画(ノンリニア)編集(49.30%)
16ミリ映写機(53.38%)
動画(ノンリニア)編集(47.69%)
デジタル・プレゼンテーション(40.85%)
OHP(48.87%)
コンピュータ全般(26.92%)
コンピュータ全般(32.39%)
スライド(39.10%)
Webでの映像の配信・受信(26.15%)
ホームページ作成(28.87%)
ビデオ(18.05%)
デジタル・プレゼンテーション(24.62%)
画像の編集・変換(22.54%)
映像のリニア編集(11.25%)
デジタル・コンテンツの作成(21.54%)
<ニーズが低いのは、16ミリ映写機やOHPを使った研修である。一方、ニーズの高い研修、将来的に必要な研修内容として、動画のノンリニア編集の研修があがっている。>

-1. 標準の必要性について
(研修カリキュラムの「標準」に類する資料は、必要であると思われますか。)


<「標準」を求める意見は全体の8割に上り、その必要性は非常に高いといえる。>
-2. 研修科目の紹介の仕方について
(研修科目(講座)の紹介の仕方として望ましいものをお選びください)



<科目の大枠のみを「標準」で示し、詳細
は各機関で決定することが望まれている。>

-3. 研修科目の分類方法について
(研修科目(講座)の分類の方法として望ましいものをお選びください:複数回答可)

<受講者の習熟度や職業の相違という学習者要因による分類と、習得すべき技能という課題要因による分類を求める意見とに分かれる回答結果である。>

-4. 時間配分の目安の提示について
(「標準」に研修時間配分の目安は示されるべきであると思われますか。)


<研修にかかる正味の時間や日数によって研修の時間配分の目安を示すことが望まれている。>
-5. 評価方法の指針の提示について
(「標準」に研修の評価についての指針は示されるべきであると思われますか。)


<研修の評価の観点や基準が「標準」に示されることを求める意見が全体の64.78%を占めており非常に多い。>

-6. 研修事例の紹介について
(「標準」に研修の事例は示されるべきであると思われますか。)



<簡単な事例が付されることを求める意見が66.01%と非常に多い。詳細な事例を求める意見と合わせると、全体の9割を超える機関が事例の紹介を求めている。>
-8. 研修の実施段階について
(従来の「標準」に基づく研修では、国、県、市の3段階を設けていましたが、今後の実施段階として望ましいものをお選びください。)


<従来どおり、3段階での研修を求める意見が43.79%と最も多いが、一方では、地域の状況に対応した研修段階を求める意見も多い。>

-7. 「標準」の配布方法について
(「標準」の配布の方法として望ましいものをお選びください:複数回答可)

<Webでの公開を求める意見が最も多いが、冊子配布の希望も61.25%と多い。大幅な改正は冊子で、小幅な改正や事例の紹介をWebで行うという対応が考えられる。>


視聴覚教育メディア研修の実施状況に関して
研修カリキュラムの実施状況について
・内容の重要性
実施する必要はない 必要性は低い
実施した方がよい 必ず実施すべき
(N=88)
実施機関数
研修実施率
平均実施回数
内容の重要性
           
総論
1. 視聴覚教育の意義と方法
27
30.68%
0.56
2. 教育メディアの動向
22
25.00%
0.40
3. 視聴覚ライブラリー及び視聴覚センターの現状
24
27.27%
0.44
4. 統合型教育メディアの基礎
16
18.18%
0.26
 
スライド
       
知識
1. スライド教材の機能と役割
9
10.23%
0.13
2. スライド映写機の種類と構造及び機能
5
5.68%
0.06
3. スライド映写機の管理
5
5.68%
0.07
4. スライド教材製作の動向
6
6.82%
0.07
活用
1. 機種に応じたスライド映写機の操作
5
5.68%
0.07
2. スライド教材の投映環境
5
5.68%
0.07
3. 使用条件に応じたスライド映写機の選定
5
5.68%
0.07
4. スライド教材の学習指導への利用計画の作成
5
5.68%
0.06
5. スライド教材の自作
6
6.82%
0.07
6. スライド教材の評価
5
5.68%
0.06
 
オーバーヘッド投映(OHP)
       
知識
1. OHP教材の機能と役割
14
15.91%
0.20
2. OHPの種類と構造及び機能
10
11.36%
0.14
3. OHP教材の種類
11
12.50%
0.16
4. OHPの管理
9
10.23%
0.14
5. OHP教材製作の動向
11
12.50%
0.16
活用
1. 機種に応じたOHPの操作
8
9.09%
0.11
2. OHP教材の投映環境
11
12.50%
0.16
3. 使用条件に応じたOHPの選定
7
7.95%
0.10
4. OHP教材の学習指導への利用計画の作成
7
7.95%
0.10
5. OHP教材の自作
11
12.50%
0.16
6. OHP教材の評価
10
11.36%
0.15
 
放送
       
知識
1. 放送の教育的特性と効果
11
12.50%
0.18
2. 教育番組の製作・提供のしくみ
8
9.09%
0.14
3. 校内放送の施設・設備
8
9.09%
0.15
4. 放送活用能力の育成(マスコミ教育)
9
10.23%
0.15
活用
1. 放送利用のための機器操作、施設設備
8
9.09%
0.15
2. 放送利用の諸形態
9
10.23%
0.15
3. 放送番組利用計画の作成
9
10.23%
0.15
4. 校内放送の活用
9
10.23%
0.15
5. 校内放送の運営
8
9.09%
0.14
6. 校内放送番組の利用と評価
7
7.95%
0.13
 
映画
       
知識
1. 映画の教育利用
38
43.18%
0.95
2. 映画の原理と特性
46
52.27%
1.15
3. フィルムの種類と形状
45
51.14%
1.11
4. 映写機の種類と構造
52
59.09%
1.28
5. 映写機の管理
48
54.55%
1.16
6. 教材供給の方法と仕組み
28
31.82%
0.78
7. 映像教育としての映画の利用
27
30.68%
0.67
活用
1. 映写機の操作等
72
81.82%
1.86
2. フィルムの扱いと接合
41
46.59%
0.98
3. 映画教材の学習指導への利用計画の作成
18
20.45%
0.56
4. 映画会の計画と運営
28
31.82%
2.50
 
録画
       
知識
1. 録画の教育利用
18
20.45%
0.31
2. 録画機器の種類と特徴
17
19.32%
0.41
3. 再生機器の種類と特徴
15
17.05%
0.39
4. 周辺機器の種類と特徴
17
19.32%
0.28
5. ビデオカメラの種類と特徴
26
29.55%
0.66
6. 録画教材の種類と特徴
19
21.59%
0.39
活用
1. テレビ番組の録画・再生
7
7.95%
0.32
2. ビデオカメラを使った撮影・記録
40
45.45%
1.26
3. ダビング
12
13.64%
0.47
4. 簡易編集
40
45.45%
1.84
5. 録画教材の学習指導への利用計画の作成
10
11.36%
0.16
6. 録画教材の自作
23
26.14%
0.56
7. 録画教材の評価
15
17.05%
0.39
  コンピュータ        
知識
1. コンピュータの教育利用
33
37.50%
2.81
2. コンピュータの基本機能
32
36.36%
2.57
3. 周辺装置の機能
21
23.86%
1.78
4. ソフトウエアの役割
23
26.14%
2.42
5. プログラム言語の基礎知識
11
12.50%
0.47
6. データベースの機能と利用
13
14.77%
0.47
活用
1. コンピュータの基本操作
39
44.32%
3.95
2. ソフトウエアの実行
 
(1) ワープロソフトの利用
35
39.77%
2.98
(2) データベースソフトの利用
13
14.77%
0.20
(3) 表計算ソフトの利用
32
36.36%
2.47
(4) グラフィックソフトの利用
26
29.55%
1.39
(5) 学習ソフトの利用
23
26.14%
2.24
3. 学習指導へのコンピュータ利用計画の作成
14
15.91%
1.22
4. パソコン通信の機能と利用
26
29.55%
1.80

<OHP、スライド、放送に関する研修の実施率、実施回数、重要性はいずれも低い。16ミリ映写機の研修の重要性が比較的高いのは、現在も映写機の使用に際して研修の受講を義務付けている機関が多いためと考えられる。実施の状況がよい内容、重要性の高い内容として、コンピュータ関連の研修とビデオの撮影・編集に関する研修があげられる。>



「研修カリキュラム」の実施状況について
・内容の重要性
実施する必要はない 必要性は低い
実施した方がよい 必ず実施すべき
(N=88)
実施機関数
研修実施率
平均実施回数
内容の重要性
総論
       
1. 視聴覚教育の現状と課題
25
28.41%
0.74
2. 地域の視聴覚教育支援体制の現状
8
9.09%
0.22
3. 施設内における教育メディア利用の協力体制づくり
8
9.09%
0.19
4. 教育におけるコンピュータの利用の意義
41
46.59%
6.27
5. 教育におけるデータベースの利用の意義
22
25.00%
0.65
6. 教育における通信システムの利用の意義
29
32.95%
1.45
7. 教材作成の理論と技術
38
43.18%
2.08
8. メディアについての教育(著作権等を含む)
45
51.14%
3.59
教育メディア各論
 
 
 
 
1. 視聴覚教材と学習過程
16
18.18%
0.33
2. 各種視聴覚教材(CAI教材を含む)の選択と評価
13
14.77%
0.26
3. 視聴覚教材を用いた学習指導案の作成
12
13.64%
0.31
4. 教育メディア利用の実践と方策
26
29.55%
1.17
5. 教育メディアの動向
 
(1) 統合型教育メディアの動向
16
18.18%
0.40
(2)教育メディアの複合利用の実際
15
17.05%
0.93
(3)新たな教育映像環境の動向
17
19.32%
0.38
6. 視聴覚教育機器とコンピュータの接続
28
31.82%
1.30
教育メディア特講
 
 
 
 
(コンピュータ)
1. OSとアプリケーションソフト
35
39.77%
4.03
2. 簡易言語によるプログラミング
23
26.14%
0.81
3. オーサリングシステム等による教材作成
21
23.86%
0.68
4. ワープロ、表計算、グラフィックソフト等による課題演習
39
44.32%
4.55
(通信システム・データベース)
 
1. ネットワークの概念
41
46.59%
1.59
2. 通信システムの種類
27
30.68%
0.95
3. 情報検索の基礎
31
35.23%
2.38
4. データベース・システムの基本機能
27
30.68%
0.77

<「カリキュラムT」と比べると、比較的実施状況はよい。特に、著作権等を含むメディアについての教育、基本的なアプリケーションソフトによる課題演習の実施状況がよく、また重要性が高いという回答が多い。一方、データベースやプログラミング、CAI、視聴覚教育の支援体制に関する研修に対しては、重要性が高いという意見が少ない。>



メディア、教材の保有状況に関して
1
・内容の重要性
実施する必要はない 必要性は低い
実施した方がよい 必ず実施すべき
(N=160)
保有施設数
機材保有率
平均保有数
研修の重要性
ハードウェア
       
16ミリ映写機
139
86.88%
6.94
スライド映写機
142
88.75%
3.58
オーバーヘッド投影機(OHP)
139
86.88%
4.46
書画カメラ / 実物投影機(OHC)
106
66.25%
1.96
拡大機
29
18.13%
0.42
スチール・カメラ
62
38.75%
1.18
BS・CSチューナー付テレビ
51
31.88%
0.90
液晶パネル / 大型ディスプレイ
28
17.50%
0.44
その他テレビ(テレビデオ含む)
104
65.00%
5.27
ビデオデッキ(VHS、β、8ミリ)
136
85.00%
10.08
DVD / LD/ CDVプレイヤー
85
53.13%
2.89
DVDレコーダー
32
20.00%
0.43
ビデオカメラ・レコーダー(VHS/8ミリ)
114
71.25%
3.78
ビデオ編集機 / 編集卓
115
71.88%
2.35
ビデオ・ダビング機
76
47.50%
1.23
カセット・テープレコーダー/CD・MDプレイヤー・レコーダー
115
71.88%
4.35
ランゲージ・ラボラトリー(LL)設備
24
15.00%
0.68
放送設備
73
45.63%
1.23
撮影・編集スタジオ
66
41.25%
0.58
コンピュータ・ハードウェア
 
 
 
 
Windows コンピュータ
121
75.63%
39.19
Appleマッキントッシュ・コンピュータ
37
23.13%
0.98
UNIX / LINUX コンピュータ
28
17.50%
1.15
ノート(モバイル)パソコン
96
60.00%
14.19
デジタル・カメラ
104
65.00%
5.41
デジタル・ビデオカメラ
106
66.25%
2.88
ビデオプロジェクター
134
83.75%
4.74
CD-ROM制作機(デュプリケータ)
31
19.38%
2.99
ノンリニア編集機
54
33.75%
2.01
テレビ会議システム
29
18.13%
1.32
電子情報ボード
22
13.75%
0.23
スキャナー
102
63.75%
5.18
レーザー・プリンター
93
58.13%
4.23
インクジェット・プリンター
115
71.88%
5.38
モバイル情報・通信機器
 
 
 
 
ハンドヘルドPC, PDA
0
0.00%
0.00
携帯電話
5
3.13%
0.03
PHS
1
0.63%
0.01
メール端末
1
0.63%
0.01
コンピュータ・ソフトウェア
 
 
 
 
ワードプロセッサ
117
73.13%
42.66
表計算
116
72.50%
36.89
データベース
82
51.25%
27.20
デスクトップ・パブリッシング 
23
14.38%
1.75
オーサリング、マルチメディア
31
19.38%
5.18
プレゼンテーション
98
61.25%
32.46
ビデオ・オーディオ編集
84
52.50%
7.69
画像編集
91
56.88%
20.38
ウェブページ編集
87
54.38%
25.87
メーリング
90
56.25%
33.81
成績管理
14
8.75%
0.51
プログラミング
35
21.88%
9.71
辞書・辞典ソフト
32
20.00%
5.08
映像集・画像集ソフト
35
21.88%
3.44
各種学習ソフト
37
23.13%
135.56
その他のソフトウェア
 
 
 
 
16ミリフィルム教材
110
68.75%
659.95
ビデオ教材(VHS、β、8ミリ)
121
75.63%
1092.23
OHP教材
22
13.75%
5.72
インターネットへの接続状況
 
 
 
 
一般電話回線 (56K)
10
6.25%
0.06
ISDN回線 (64K/128K)
39
24.38%
0.43
LAN回線 (10M/100M)
40
25.00%
4.93
ケーブルTV回線 (2M)
19
11.88%
0.29
ADSL・DSL回線 (1.5M/8M/12M)
15
9.38%
0.44
光ファイバー回線 (10M/100M)
49
30.63%
0.97
その他のハードウェア、ソフトウェア
       
・エル・ネット送受信機
・テレシネ装置
・ビジュアル・プレゼンター

<コンピュータ・ハードウェア、ソフトウェアに関する研修の重要性が高いという回答が多い。特に、プレゼン、Webページ編集、動画編集の重要性が指摘されている。平均して各機関40台のWindows機を保有しているという結果であるが、保有率は75.63%にとどまっており、OHPやスライド、16ミリ映写機などと比較すると、決して高いとは言えない。インターネットへの接続状況は、光ファイバー回線によるものが30.63%と最も多い。>