モデル事業
(3)教育情報ネットワーク(エル・ネット)を活用した
「にいがた連携公開講座」
「にいがた連携公開講座」実行委員会」
(新潟県立生涯学習推進センター)
1.趣 旨
新潟県立生涯学習推進センターでは、県民の生涯学習に対するニーズに対応するため、 市町村及び大学等高等教育機関と連携して、県民にとって身近なテーマを取り上げた公開講座を「にいがた連携公開講座」として県内各地で開催している。
今回のモデル事業においては、この「にいがた連携公開講座」とエル・ネット「オープンカレッジ」とを結び、受講者参加型の講座の在り方やエル・ネットの活用方法について探ることにした。
また、これを契機に県内のエル・ネット受信施設におけるエル・ネットのPR方法や活用状況等について調査し、活用を促したいと考えた。
2.事業の概要
(1)事業の経緯
本事業の委嘱を受けるに当たっては、北海道における生涯学習の一層の推進を図るため、道民の多様化・高度化する学習ニーズに対応した学習機会の拡充及び北海道の広域性をふまえた学習機会の提供のあり方等をはじめ、道民カレッジ事業や道立生涯学習推進センター附属視聴覚センターとの連携を視野に入れたモデル的事業を行い、当モデル事業実施委員会が事業の評価と分析、考察をすることとした。
具体的には、地域連携型・施設企画型と拠点施設設置型のエル・ネット「オープンカレッジ」事業を推進する中で、北海道らしい学習機会の提供方法や場の設定、並びに広報の有り様や学習プログラム(内容)の工夫をはじめ、ビデオ教材のライブラリー化に伴う普及・啓発とその活用等について探ることとした。
2.講座の概要
(1)にいがた連携公開講座について
新潟県が主催する広域遠隔学習推進事業として平成13年度から実施している。講座の主会場で講師が講義を行い、多地点接続のテレビ会議システム(ISDN回線)で結んだ受信会場に講座を配信、双方向性を生かして質疑応答も行う講座である。本モデル事業においては、特別講座として次のように実施した。
・
講師:新潟大学工学部
原 利昭教授
・
講座:「新潟県の地場産業」
・
期日:10月25日(土)
・
講義会場(VSAT局):
国立オリンピック記念青少年総合
センター
・
意見発表会場:三条市中央公民館(三条市)、十日町情報館(十日町市)
なお、にいがた連携公開講座の3年間の実績は次の通りである。
13年度
14年度
15年度
参加市町村等数
5
10
14
参加大学数
7校
14校
18校
講座数
10回
19回
19回
参加人数(平均
43.7人
61.8人
78.1人
(今年度の講座一覧は、p71の参考資料1を参照)
(2)エル・ネットと「にいがた連携公開講座」のシステムについて
「にいがた連携公開講座」で使用しているテレビ会議システムを使用し、公開講座をそのままエル・ネットで配信することを当初考えていた。
モデル事業当日のシステム
しかし、この方法で配信すると映像が荒くなるという(財)衛星通信教育振興協会からの指摘があり、多地点接続のテレビ会議システムは使用しないことにした。その代わりに、国立オリンピック記念青少年総合センターが「子ども放送局」で使用しているテレビ電話と県内の意見発表会場のテレビ電話を1対1で結んだ。県内からの意見発表の模様はテレビ電話からの映像と音声をエル・ネットで配信する方法を採った。
(3)成果と課題
エル・ネットと「にいがた連携公開講座」のシステムについて
オリンピック記念青少年総合センターと県内2施設はISDN回線を使用したテレビ電話で結ぶため、意見発表者の映像はエル・ネットで配信されても不鮮明なことは事前に予想できていた。しかし、事前テストにおいて音声がクリアに出なかったため調整にたいへん手間取った。当センターでは、マイクやケーブル類の点検を行い、不良なマイクやケーブルを新しい物に取り替え万全を期した。VSAT局における出入力レベルの調整が難しいのではないかと感じた。当日は、VSAT局側の調整のおかげで心配していた音声も良好に流れ、安心して講座を実施できた。
モデル事業当日のシステム
県内にVSAT局がない状況でどのように講座を実施し、それをエル・ネットで全国に送信できるかということが本モデル事業の重要なテーマであった。
当センターでは全所体制で事業に取組み、講師の原利昭教授(新潟大)や意見発表者、意見発表会場、VSAT局、文部科学省生涯学習政策局学習情報政策課、(財)日本視聴覚教育協会、(財)衛星通信教育振興協会と連絡を取り合いながら講座を実施することができた。
また、「にいがた連携公開講座」として実施した古文書講座「古文書で読む江戸時代」(平成15年9月12日実施)を録画し、エル・ネット配信用に当センターで編集したものを全国に配信することができた(平成16年2月24日)。これらの講座を順調に送信することができたことから成果が上がったと考える。
講座を配信する側に立つことで、音声の処理やカメラワーク、資料の作り方等、今後の「にいがた連携公開講座」に応用できる内容を多く学ぶことができた。
課題は、ISDN回線を使用したテレビ電話の映像と音声では荒さが目立ち、改善が必要だということが挙げられる。アンケート結果からもそのような意見や
感想が多かった。
古文書講座で使用した資料
(アンケートからの抜粋)
・
わかりにくいグラフの映像が荒く、見えなかった。
・
受講者同士の交流と次の学習意欲への発展が見られたこと。
・
二人の意見発表者のモニター映像が見にくかった。
・
色調がモノクロームで動きがぎこちない。
講座内容について
伝統的かつ優秀な技術に支えられ、地域経済の担い手として大切に育まれてきた新潟県の地場産業は、国際競争や技術革新、後継者難等の問題に直面している。講座では、地場産業の現状や産学官の連携による新分野進出の試みなどについて講義をしていただいた。その後、三条と十日町の地場産業に携わっている方々から意見発表をしていただき、それらの発表を受けて講師から補足説明や御指導をいただいた。
アンケート結果を見ると、講座内容については好評を得ることができた。また、講師の提示した資料や話し方に対しても評価が高いことがわかった。資料の作成については『講義集録について』の「講義資料の作成要領」に基づき作成していただいた。
(アンケートからの抜粋)
・
新潟県の良さを再発見できた。
・
遠隔地での放送(講話)を身近に聴講することが
できる。
・
産業の現状が数値としてよく分かった。
・
新潟県の地図やその地域に合った映像を取り入れ
たことで臨場感が得られた。
・
内容も充実しており(新潟県の特長を明確にして
いる、資料の充実)良かった。
・
地場産業の衰退は資本主義経済では必然の結果。
どのように建て直しをはかるのかの方策が示され
たこと。
・
原先生の話し方がよく理解できた。
作成したチラシ
エル・ネットの活用について
チラシを作成しエル・ネット受信施設や関係機関等に送付したが、「ラ・ラ・ネット」(新潟県生涯学習情報提供システム)を生かし、インターネット上でも積極的に広報できたのがよかった。
エル・ネット「オープンカレッジ」について知っている県民がまだ少ないことから、県民への周知の方法が課題となる。
また、「オープンカレッジ」の講座を当県教育委員会の事業の「いきいき県民カレッジ」の一部として登録し運用することで講座の活用を図ることも今後の課題である。
3.県内のエル・ネット受信施設の活用状況等について(調査結果)
(1) 放映状況 (40施設中34施設から回答 H14年度実績 参考資料2 p72, p73参照)
●オープンカレッジ:
毎回放送
1
要請時に放送
17
放送せず
11
●子ども放送局:
毎回放送
13
要請時に放送
10
放送せず
6
●文部科学省ニュース:
毎回放送
2
要請時に放送
11
放送せず
13
(2)広報について
広報している:15 していない:15
<広報の方法>
・市町村広報紙 ・館内掲示 ・パンフレット等配布 ・番組表を小中学校へ配布
・団体向け広報紙 ・施設の情報誌 ・市町村ホームページ ・防災無線で呼びかけ
(3)放映以外の講座の活用方法
・ビデオライブラリーとして活用:5
・番組に合わせた講座を開催 :1
(4)課 題
放送以外に講座を活用している例も見受けられた。このような実践例を紹介していくことも活用の促進に資することになると考えられるため、当センターでの課題としたい。
また、当センターでも言えることだが、常時放映スペースを設置できない施設が多く、視聴環境の整備が進んでいないことが積極的な活用に結びつかない要因の1つに挙げられる。そのため、積極的な広報を展開できないでいる施設も少なくない。今後、この環境整備をどのように行うかが多くの施設の課題である。
(参考資料1:「にいがた連携公開講座2003」の講座一覧)
実施期日
講師
テーマ
1
6月15日(日)
新潟産業大学
教授 鶴田洋子
絵本の世界
2
6月21日(土)
新潟大学
教授 酒泉 満
水辺の生物との共生を目指して
3
7月5日(土)
上越教育大学
教授 中川清隆
自然環境と人々の暮らし
「新潟県の天気とくらし」
4
7月13日(日)
長岡工業高等専門学校
教授 佐藤和秀
熱い地球〜地球温暖化の実体
5
7月19日(土)
新潟青陵大学
助教授 山路克文
少子高齢化社会と介護問題
6
8月3日(日)
新潟青陵大学
講師 押木 泉
家庭教育のあり方を考える
7
8月10日(日)
県立新潟女子短期大学
助教授 石川伊織
町づくり・暮らしづくり・私づくりの男女共
同参画
8
8月31日(日)
新潟経営大学
教授 片上 洋
マーケットの規矩(さしがね)
9
9月12日(金)
県立文書館
専門文書研究員 本井晴信
古文書で読む江戸時代
【エル・ネットで送信】
10
9月21日(日)
長岡技術科学大学
教授 福嶋祐介
加治川の治水と流域の歴史
11
10月3日(金)
新潟大学
教授 矢田俊文
中世奥山荘地域の領主と農民
12
10月10日(金)
敬和学園大学
教授 若月忠信
「遠野物語」の二、三の疑問を「瞽女小林ハ
ル」で読む
13
10月18日(土)
上越教育大学
教授 大悟法 滋
自然環境と人々の暮らし
特別
講座
10月25日(土)
新潟大学
教授 原 利昭
【エル・ネット オープンカレッジ特別講座】
新潟県の地場産業
14
10月30日(木)
新潟大学
教授 矢田俊文
金津保地域の中世的世界
15
11月9日(日)
新潟医療福祉大学
助教授 齋藤トシ子
子どもに対する食教育
16
11月15日(土)
県立歴史博物館
研究員 石垣 悟
民俗調査って?
17
11月30日(日)
長岡技術科学大学
教授 藤田昌一
自分たちの住む環境を考える
18
12月6日(土)
県立歴史博物館
主任研究員 伊與部倫夫
ここまで分かった新潟県の古墳文化
19
12月13日(土)
新潟国際情報大学
教授 區 健英
進む国際理解
(参考資料2:調査項目)
エル・ネットについて
(1) 貴市町村では、管内にエル・ネット(教育情報衛星通信ネットワーク)を受信・放映する
システムを設置している施設がありますか。該当する欄に○をお付けください。
( )設置している施設がある。( )今後設置予定である。( 年 月頃)
( )今後とも設置予定はない。
(2) 「設置している施設がある」と回答された市町村は、下の欄に設置している施設名をお書
きください。(貴管内の県立、国立施設は除く)
-
エル・ネットのシステムを設置している施設名
-
―――――――――――――――
(3) (2)の施設において、今年度のエル・ネット関連番組の放映状況について、該当欄にアルファベットをお入れく ださい。(貴管内の県立、国立施設は除く)
【施設名: 】
記号: a毎回 b要請のあったとき c放映していない
番 組 名
実施状況
エル・ネット「オープンカレッジ」
――
子ども放送局
――
文部科学省ニュース
――
その他( )
――
【施設名: 】
記号: a毎回 b要請のあったとき c放映していない
番 組 名
実施状況
エル・ネット「オープンカレッジ」
――
子ども放送局
――
文部科学省ニュース
――
その他( )
――
(4) エル・ネットの番組紹介等について、どのように広報していますか。該当する項目に○をお付けください。
a 市町村の広報紙に載せる
b エル・ネット独自の広報紙を作成
c 市町村のホームページで広報する
d 特に広報していない
e その他( )